鳥取大学附属中学校

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放送による全校集会を行いました。

2021.01.13

 1月7日、8日は大雪による臨時休業となり、12日(火)に休み明けの放送による全校集会を行いました。以下に小玉校長先生の話しを紹介します。

 

 新年明けましておめでとうございます。皆さんはどのようなお正月を過ごされましたか? 私は年末の雪かきに続いて,ステイホームの正月でした。私事ですが,人生の節目となる還暦を迎えました。60年間,元気に過ごせたこと,多くの方々に出会い,人生を導いていただいたことに感謝しております。。いよいよ初老の仲間入りですが,気分は相変わらず20代です。

 

 人生の節目にあたり,振り返ってみました。私は地球科学の一分野である地形学の研究・教育に従事しています。中学校の科目では,理科の地学分野や社会科の地理分野に関連します。鳥取砂丘で砂がどの様に動くかといった秒単位の現象から,氷期―間氷期のリズムにあわせて大地の形がどのように変化するかといった数10万年の現象まで,時間と空間を往き来します。このような自然との対話を楽しめるようになったのは35歳以降でした。それまで蓄積してきた知識・経験を駆使して,自然の姿をありのままに捉え,その理解を深めることができるようになってからです。大学に入った頃は明確な目標もなく,まさにストレイ・シープ,何をしたらよいのか分からずに迷っている人でした。自転車の放浪旅で日本中を巡り,講義で地形学を知り,目を輝かせて議論する研究者の姿に出会いました。大学院時代,自分も自然と対話ができるようになりたいと願い・憧れ,ひたすらに研究に打ち込み,毎週のゼミに臨む日々でした。

 

 論語に「これを知るものはこれを好む者に如かず,これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」とあります。ある道を志すにおいて,ただ知識として知っているだけの人は,それを好きな人には及ばない。それを好きな人であっても,それを楽しむ人には及ばない という名言です。我が師匠はまさに地形を楽しむ人であり,私もあのように地形が見えるようになりたいと明確な目標ができたわけです。しかし博士号をいただいた頃でも,師匠と一緒に野外を歩くと地形をみる力の差は歴然でした。転機となったのは師匠のもとを離れ,鳥取に来てからです。学生と共に挑戦する鳥取の地形が,次第に我が師匠にかわっていきました。継続は力となり,やがて心底楽しめるようになりました。

 

 皆さんはこれから10年~20年かけて自分が好きなもの・打ち込めるもの・心底楽しめるものを探し続け,将来地域社会に貢献できることを目指してください。人との出会い・本との出会いを大切にしながら。 

 

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