鳥取大学附属中学校

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全校集会を行いました。

2019.01.07

  

冬休みが明け、学校が始まりました。全校集会では、鶴崎校長より以下の話がありました。

 私の一番の専門はザトウムシという動物ですが,これはクモの親戚の動物で,また,最初に始めたのはクモなので,専門はクモと言ってもらっても間違いではないのですが,私がこのクモの研究を始めたのは中二のときでした。

 私はもともと小学生の頃から生きものが好きで,夏休みの宿題では毎年昆虫標本を提出していました。が,中学生になってから,ただ採集して標本を作るだけじゃなくて,なにか研究らしきものをしたいと考えました。何がよいか,学校の図書館の本をいろいろ読んだりして研究しましたが,中一の3月に本屋で買ったある本に,クモは研究者が少なくて,やることがいくらでもある,といった記述を見つけました。これを見て,私は,これはいい,楽をして研究ができそうだ,と思いました。クモの名前がわからないことには研究がはじまらないので,本屋でクモの図鑑を見つけて買いました。中二の1学期でした。近くの山で採集したクモを調べると,半分くらいは名前がわかりますが,わからないのも半分くらいある。もしかすると新種になるようなものもいるかも。これはやりがいがありそうだと考えました。その図鑑に日本クモ学会という学会の入会案内のしおりがはさまっていて,だれでも会員になれる,中学生の会員もいます。と書いてあるのを見て,すぐに入会しました。まもなく会誌が届き,それに会員名簿もついていたのですが,その会員名簿は県別に並んでいて各会員の専門も書いてありました,私は当時愛媛県に住んでいたのですが,愛媛県のところには6人くらい名前があって,ダニや多足類の大家らしい人の名前が並んでいたのですが,クモが専門だという人はいませんでした。ということは,クモだと愛媛県ではすでに自分が第一人者ではないか,しめしめ!と中2にして思ったわけです。

 鶏口となるも牛後となるなかれという中国のことわざがあります。鶏口というのはニワトリの口,牛後というのは牛のうしろと書きます。大きな組織の下で他人のあとを追うような人生ではなく,小さくてもよいから先頭にたつような生き方をしなさいという意味です。鶏口よりも牛頭のほうがいいはずですが,牛頭にはなるのは大変だし時間もかかる。頑張り続けるためには,目標は手近なところにおいて達成感を味わうことが大事です。人生の支えとして,自分が人に誇れるものを小さくても一つもてたことはよかったと思います。

 みなさんは自分が誇れるもの,これは打ち込めるというものを何かもっていますか?もうあるという人は是非それをうまく育ててほしいですし,まだないという人は,自分の力を生かせる得意分野を一つでよいので,見つけて下さい。目標は頑張れば手が届きそうなところに立てて,達成感を味わう,そしてそれをまた次の頑張りにつなげる,これが人生を楽しく,生きがいをもって過ごすための大事なコツではないかと思います。これを続けていれば,そのうち,牛頭は無理でも猪の頭くらいにはなれるかもしれません。

 さて,学年の最後の3カ月です。時間を有効につかって,大切に過ごしてください。3年生の人は,いよいよ受験が始まりますが,万全な体調で試験に臨めるように,体調管理に十分気をつけてください。

 

 

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